2010年01月24日

[レビュー]ダライアスバースト オリジナルサウンドトラック

ダライアスバーストの音楽面についてはすでに前の記事でもある程度言及していますが、改めてサントラとして聴いた場合の感想を述べてみたいと思います。
簡単に言ってしまうと、「悪くはないんだけどねぇ……」といったところです。

インナーのライナーノーツで、サウンドディレクターの石川さんは
そもそもダライアスシリーズのサウンドコンセプト自体がシリーズ毎に大きく形を変えながら進化しており、そこが最も重要なポイントとなっていることに気が付いた。
とおっしゃっていますが、これは裏を返すと「変化」「進化」と言ってしまえば何でもあり、ということになってしまいます。

正直に言わせてもらうと、ダライアスバーストの音楽にダライアスシリーズの音楽としての「進化」は見られません。そうではなくて、ダライアスシリーズの延長線上にあるのではなく、「ダライアスバースト」という新たなゲームの音楽として捉えるのであれば、これは納得のいく作品であると言っていいでしょう。

ただし、それでも気になる点はあります。

サントラとして通しで聴いてみると、個々の曲の出来は悪くないんですが、方向性が統一されていないのに気づきます。それぞれの曲が四方八方に伸びようとした結果、全体としてどちらにも進んでいない。よく言えばバランスが取れているとなりますが、悪く言えば「言いたいことがよくわからん」ということでもあります。
複数のコンポーザーが参加している以上、ある程度しかたがないことなのでしょうけど、何かこう、全体をまとめ上げる一本筋の通ったものがあるとよりよかったのではないかと思います。
(従来のダライアスシリーズの音楽では、その「筋」が小倉さんの思想であったことは言うまでもないでしょう。)

それと、新奇性を求めるあまり手段と目的が入れ違っているような曲があるようにも思えました。その中でも特に気になるのが、やはりヒューマンボイスの多用です。妖しさや神秘性を出すにはいいアイテムですが、たとえば「Iron Corridor」や「Hinder three」などでは「そこまでして使う意味があるの?」と言いたくなってしまいます。一方、「Dograce」のボイスは面白いですね。多分逆再生して使っているんだと思います。こういう工夫は割と好きです。
(「Hello 31337」は小倉ダライアスのテイストがインパクト充分なので別格扱いです。>ボイス)

あと、サントラで聞き直すと、プレイ中はあまり印象に残らなかった曲もじっくり聴けるので、印象が変わるものがありました。「Good-bye my earth」が珠玉の出来であるのは前にも述べましたが、「Abyssal Holic」なんか、改めて聴くとテンション高くていいですね。「I LED NU-RED-GAS」も細かいところまで聴けて、「おや、こんな曲まで入っていたのか」と新たな発見をしたりしています。
ちなみに、「I LED NU-RED-GAS」は英語のアナグラムです。割と簡単なので、挑戦してみてはいかがでしょうか。

……とまあ、若干辛口なレビューになりましたが、新しいことへの挑戦は、ZUNTATAを名乗る者の宿命でもあるわけでして、そういう意味でダライアスバーストのサントラは(CDのデザインも含めて)新生ZUNTATAを予感させるに充分な内容であったと思います。
今後のZUNTATAの活動に期待したいものです。
posted by まれいん at 18:57| Comment(6) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
どうも、いっきです。
私もサントラは買いまして、聴き込んでみました。
一言で言うと・・・「刺さらなかった」・・・というところです。

ダライアスはシリーズものではありますが、一作ごとにOGRさんの言われる「ゼロスタート」を切ってるため、「シリーズ共通の何か」といったものはあまり感じられません。
ですから、そもそも「変化」はあっても「進化」という表現は妥当でない気が私もします。

そこで今回のダラバーなわけですが、とりあえず過去作に引きずられているような印象は受けませんでした(コラージュ的な曲はあえてそうしてるわけですし)。
ただ、ここが古参のZUNTATAファン心理の難しいところだと思うんですが(笑)、何かこう、「いい曲だな」という感想にとどまらず、心の奥に形容しがたい「何か」を置いていってくれる、そんな期待を自然としてしまうものではないかと(いや、勝手な思い込みかもしれませんが・・・)。

作品について徹底したコンセプトワークを行って、ある種「突き抜けた」ところに到達してしまう・・・、そんな期待を心のどこかに宿して1曲1曲と対峙する。ZUNTATAファンってどこかそういうトコロがあるような気がするんです(コレも思い込みですが)。

巷で人気が高く、またまれいんさんも賞賛されている「Good-bye my earth」や、ラス面らしく「ぐわっ」と盛り上げる「The world of spirit」などは、作り込まれていて私も好きです。
ですが、例えていうならば「GMが盛り上がっていた頃のコナミのいい曲」と同じような評価軸で見て、いい曲なんです。
あと、1曲のループが短かったり、フレーズの繰り返しが(意図してのことでしょうが)多かったり、というのもこれまでのZUNTATA作品とは印象が違うなあ、という気がします。

どの曲もゲームプレイとのマッチングはいいんです。複雑なリズムやおもしろいベースラインも手伝って雰囲気を盛り上げてくれますし。
ただ、曲としての完成度という次元から大きく跳躍して「!?そうきたかっ!!」と思わせてくれることこそが、そもそもZUNTATAらしさじゃなかったかな?というのが私の本音です。

書いてるうちにまれいんさん以上に辛口になってしまいましたが、ZUNTATAがZUNTATAとして活動を続ける限り、追いかけていこうと思っています。
ではでは。

P.S. OGRさんの「Hello 31337」は、さすがの説得力で、しかもグレートシングとの死闘にうまくハマっていて大好きです。ただ、どこかに書いてあった意見で、あぁ確かに、と思ったんですが、少々分かりやすすぎるかな、というのは感じます。
Posted by いっき at 2010年01月30日 03:28
>いっきさん
お返事が遅くなってすみません。

私も古参の(元)ZUNTATAファンとして、いっきさんの言わんとするところはよくわかります。
ただ、正直に言って、今のZUNTATAに「いい意味での裏切り」は期待していません。それは過去のZUNTATAが為し得たことであって、昔同様の「突き抜けた」コンセプチュアルな音楽は、失礼ながら今のメンバーに求めるのは難しいのではないか、と思っています。

ただ、それでもダライアスバーストの音楽はかなりがんばっていると思いますね。及第点ながら、難しい課題を乗り越えたと言えるのではないでしょうか。

というわけで今後のZUNTATAの展開が楽しみではあるんですけど、問題は今回のような難しいチャレンジを再び行なう機会があるかどうかですね。どんなに才能や技術があっても、それを振るう場所がなければ無意味ですから。そういう点では、タイトーの今後が非常に気になるところです。

「Hello 31337」が分かりやすすぎる点ですが、1曲だけの参加という制限がかかっていたからだと思います。要するに、1曲で全て伝えきる必要があったわけですから、メッセージとしては分かりやすくしなければならなかったのではないかと推測します。
Posted by まれいん at 2010年01月31日 22:39
「ダライアスバースト」に関しては私もレビューを書いてみました。
http://d.hatena.ne.jp/WizardOfPSG/20100131#p2

実は、レビューを書く前にこの記事の存在自体は気づいてたんですが、読むと意見が引きずられる可能性があったので敢えて読まずに書いた…んですが、結局ほぼ同じ内容になってしまった…(^^;)

本当は「OGR氏以外のコンポーザでもここまで出来るんだ!」って記事を書きたかったんですが…うーん、やっぱりそこまでのパワーを感じないんですよね。 あんまりネガティブな記事を書くと、過去作の思い入れが強すぎて新しい流れを受け入れられない頭の固いオッサンっぽく見えるので本当はヤなんですが…(^^;)

結局は最後に書いてあるのが一番云いたいところで、新生ZUNTATAで旧作のファンをもねじ伏せてしまうほど強烈な個性と魅力を持った曲をどんどん作って行って欲しいなぁ…という願いも込めて書いてます。

ちなみに、前述の記事には書きそびれたんですが、今回の作曲者の一人である小塩氏の発言(http://zuntata.jp/pickup/db_int.html)で
> 小倉さんは我々の議論には参加していないのですが、結果的に最もダライアスらしい曲であったと思います。
ってのを見ると、この時点で「小倉氏の曲以上にダライアスっぽい曲は作れなかった」と認めてしまってるんですよね。

「今までとは違う方向性で新しいダライアスの世界を見せたい!」という意気込みからこの発言が出てきたとすれば、それはそれで頼もしいのですが…裏を返せば、その時点で「ファンが求めるダライアス像」とは違うベクトルを向いていた、ということなのかもしれないなぁ…と。

うーん、やっぱり色んな意味で難しいんでしょうね…続編ってのは。 何が正解なのか、結局自分でもよくわからなかったり…(^^;) ただ、1つだけ云えるのは、「どんな曲を作ろうとも、雑音を一掃できるほどのパワーを持つ曲であれば、おのずと評価はついてくる」ってとこなんでしょうか。 今の作曲陣では、そこに少し及ばなかったということなのかな…(あるいは拙者の脳が若い世代の感性についていけていない?^^;)

でも、彼らは若いので、今回の経験はきっと今後に生きてくると信じています。 今後の作品に期待したいと思います。
Posted by Wiz. at 2010年02月01日 21:45
>Wiz.さん
どうも、ご無沙汰しております。
お返事が遅れまして申し訳ありません。
レビュー、拝読しました。私よりもずっと細かな分析をしてらして、読み応えがありました。

結果的に内容が似てしまったのは、やはりそこに核心があるからだと思います

ダライアスバーストの音楽がダライアスバーストというひとつのゲームのためにのみ存在するのであれば、それは相応に評価すべきだと私は書きました。逆に言えば、ダライアスの続編としての音楽になるには説得力が不足していた、ということでもあります。そして、今のZUNTATAにそれだけの説得力のある音楽を望むのは難しいであろうことも。

そういった続編云々といった議論をねじ伏せるくらいのインパクトを持った楽曲であればよかったのでしょうけど、まだそこには二、三歩足りないかな、という気がしました。

ただ、ダライアスバーストの音楽は新生ZUNTATAの今の実力を知るのに充分な内容でしたから、今後にも期待したいと思うのです。

……なんだかコメントも似たようなものになってしまいましたね。失礼しました(苦笑)。

ともあれ、ZUNTATAの次回作(あるのか?)に期待したいところです。
Posted by まれいん at 2010年02月05日 00:14
はじめまして、コメント失礼します。
ZUNTATAで検索してここへ辿り着きました。

>今のZUNTATAに「いい意味での裏切り」は期待していません。それは過去のZUNTATAが為し得たことであって、昔同様の「突き抜けた」コンセプチュアルな音楽は、失礼ながら今のメンバーに求めるのは難しいのではないか、と思っています。

概ね同意見です。
しかし今、まれいんさんの仰るような突き抜けた音楽がゲームに必要とされているのか疑問に思ってしまうのも事実です。
ニンジャウォーリアーズやナイトストライカーズ、レイフォースが世に出た頃のZUNTATAは輝いて見えました。
それらはゲーム業界が若かったからこそ生まれ得た事柄でしょう。ゲームの外見もコンセプトも多様化し変わってしまった以上、ゲーム音楽の本質も少しずつ変化していくのは必然だと言えます。

私たちは思い出補正に捕らわれ、現在のZUNTATAやダライアスという作品に過剰な期待(重荷)をかけすぎてはいないでしょうか?
・・・と言いたいところですが、下の言葉がまさにその通りなので口を噤んでしまいました。

>そういった続編云々といった議論をねじ伏せるくらいのインパクトを持った楽曲であればよかったのでしょうけど、まだそこには二、三歩足りないかな、という気がしました。

ダライアスバーストの楽曲はダライアスシリーズへの称賛であると同時に、無難にまとまってしまった作品であるとも言わざるを得ません。
そして、突き抜けたものを創り出すことの難しさを教えてくれた作品でもあります。

コメント失礼しました。
Posted by 5 at 2010年02月14日 07:07
>5さん
コメントありがとうございました。
お返事が遅くなってしまい、申し訳ありません。

>ゲームの外見もコンセプトも多様化し変わってしまった以上、ゲーム音楽の本質も少しずつ変化していくのは必然だと言えます。

たしかに、それは一理あると思います。
ですが、私としては最近のゲームミュージックが映像の引き立て役に回され、一歩引いた位置に追いやられているようにも感じられるのです。そういう意味で「本質の変化」が進んでいるとすれば、それはやはり寂しいものです。

ゲームミュージック黄金期と呼ばれた頃の作品には、もっと作り手の「想い」が込められていたように思います。そういった想いが溢れた結果、いわゆる「突き抜けた」作品が数多く生まれたのではないのでしょうか。もちろん、音楽側の突き抜けたアプローチを容認する開発側のセンスがあったからこそですが。

今回のダライアスバーストの音楽は、それが難問であったがゆえに、作り手の「想い」がいくばくか感じられる佳作であったと思います。その一方で、ZUNTATAの名を背負う者としては、もう一歩踏み込みが甘いようにも感じられました。

落語や歌舞伎を挙げるまでもなく、名を継ぐということは相応の責任が伴うことでもあります。ダライアスバーストではいい取っ掛かりを見せてくれましたから、(もし次があるならば)新生ZUNTATAの突き抜けたところを見せてほしいものです。
Posted by まれいん at 2010年02月18日 23:26
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