2006年05月11日

iTMSとゲームミュージックのロングテール

iTunes Music Store限定で「聖剣伝説DS CHILDREN of MANA」楽曲を配信

おお、これはうれしいですね。
聖剣伝説DSは密かにプレイを続けておりまして、なかなか音楽が良いのでお気に入りなのです。特にダンジョンの曲がいいですね。

携帯ゲームの楽曲というのはよほどのタイトルでない限りアルバム化されることがないですから、こういう形で提供してもらえるのはありがたいことです。もちろん、欲を言えばきちんとアルバムになったものを手元に置いておきたいのですが、決して多くないであろう需要に対する供給方法としては妥当なものだと思います。

携帯ゲームと言えば、「逆転裁判」シリーズの楽曲もiTMSで購入できるようになってますね。サントラ自体は現在も「たのみこむ」で購入できるようなので聖剣伝説DSとはちょっと事情が異なりますが、一般店舗への流通を回避しているという点では共通するものがあるかと思います。

最近「ロングテール」という言葉を耳にするようになりましたが、ゲームミュージックという(残念ながら)需要の多くないジャンルの楽曲販売には、まさにこのロングテールのモデルが適しているのではないでしょうか。

元々ロングテール的なビジネスとしては「たのみこむ」方式があって、実際それによって多くのアルバムが枚数限定で製品化されてきたわけですが、それよりもiTMSなどによるダウンロード販売は、よりゲームミュージックに適した方法だと思われます。何しろ、1曲単位から買えるのですから。

「あのゲームのエンディングの曲が忘れられない」という、極めてニッチな要求が生じるのがゲームミュージックという音楽ジャンルの特異性です。その1曲を聴きたいがためにアルバムが製品化されるのを待ったり、そのアルバムを丸ごと1枚買わねばならなかったり、というのでは無駄が多すぎますが、このような1曲単位での需要はまさにロングテールとして存在しているはずです。そういう点から考えると、ゲームミュージック関連企業がiTMS等で楽曲配信を行うというのはビジネス的に見ても妥当な判断だと考えられます。

と言っても、別に私はここでビジネス評論をしたいわけではありません。このゲームミュージックにおけるロングテールビジネスに私が期待しているのは、一般の方々の中にある潜在的な需要を掘り起こすことによって、ゲームミュージックという音楽がより身近でメジャーな存在になることです。

ゲームプレイヤーの人口は今や相当な数に上るでしょうし、ニンテンドーDSのような携帯ゲーム機の普及によって一般の方々でもゲームに触れる機会は多くなってきました。となれば、やはり記憶に残るゲームミュージック、というものもそれ相応に増えてきているはずなのです。
例えば、今も大ヒットを続けているニンテンドーDSの「おいでよ どうぶつの森」。かなりたくさんの曲が使われているので、完全なサントラ化は難しいと思われるのですが、なごみ系の良質な楽曲が揃っている上に習慣性の高いゲームなので、個々の楽曲に対する需要は非常に高いことが予想されます。
実際、ゲーム中に登場する「とたけけ」さんの歌のアルバムは、現在廃盤となっているものの「たのみこむ」で熱烈な再販希望が出されている状況です。

ゲームミュージックに対するこういった需要が放置されたままになっているのは、実にもったいないことではないでしょうか。ビジネス的な面はともかく、ゲームミュージックを愛する者として、もっと一般の方々に普及できるものを普及できないという現状が実にもどかしくてなりません。

「あのゲームのあの曲が好きなんです」という会話がゲームミュージックマニアの間でしか成立しないままでは、ゲームミュージックはいつまでたっても閉鎖的なマニア趣味の域を出ることができません。
一曲一曲に対する需要から掘り起こして、カジュアルな一般ゲーマーの間でも「あのゲームのあの曲、いいよね」という会話が日常で成立するようになってこそ、ゲームミュージックという音楽ジャンルの展望が開けるのではないでしょうか。

そのためにも、iTMS等によるゲームミュージックのロングテールビジネスにはこれからもよりがんばってほしいのです。現在はファルコム、スクウェア・エニックスといった辺りが健闘していますが、個人的には大量のコンテンツを保有しているサイトロンレーベルにぜひ参入してもらいたいと願っています。サイトロンという会社が消滅して、その保有コンテンツの行方が気になる今だからこそ、そのリソースをネット上で開放してほしいのです。需要は決して少なくないはずですから。
それと、アルバムにはなりにくい携帯ゲーム機(ニンテンドーDS、PSP)の楽曲についてもこれからさらにネット配信が進められていくことにも期待しています。カジュアルゲーマー層に訴求するという点で、こちらも需要はあるはずです。

ゲームミュージックは権利関係が実にややこしいと聞きますが、そういった垣根を越えて各社各レーベルがネット配信に参入してくれれば、ファンとしてはうれしい限りです。


posted by まれいん at 01:56| Comment(4) | TrackBack(0) | 話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです。
私もiTMS利用してます。事実上日本で最大の音楽配信サイトであるiTMSでもまだまだ物足りない感じですよね。
個人的にはああいう場はゲームサントラを販売するほど余裕が無い会社こそ利用するべきだと私も思います。
ただあそこを利用するユーザーは「音楽好き」であるというある種の人種みたいなものもあるんで、音楽を持ち歩くという文化がもっともっと身近にならないと一般に広めるのは難しいでしょうね。
そのためにはアップルの一人勝ちという状況はこの限りにおいて好ましくないのかもしれません。モーラなどの日本企業の音楽配信もウマクいってもらいたい、そしてマニアックな古ーい楽曲の配信もしてもらいたいというのが懐古中毒の日本人としての理想です(笑)
Posted by パンドラ at 2006年05月13日 18:22
>パンドラさん
どうも、ご無沙汰しております。

iTMSは配信する側にとっては非常に敷居が低いので、大手は元より、もっと小さなゲームメーカーやレーベルにも積極的に参入してほしいですね。もちろん、曲単体でも売れるという自信とそれだけのクオリティがあれば、ですが(苦笑)

一方、おっしゃるとおりiTMSは一般のカジュアルなリスナーにとってはまだ決してメジャーな存在ではありません。そもそも、音楽をPCでダウンロードして聴くというスタイル自体まだ一般的ではないのかもしれません。
こと日本に関して言えば、過剰とも思える著作権意識のおかげ音楽業界はネットでの音楽配信に対してあまり積極的とは言えず、その姿勢が普及を阻んでいるようにもに思えます。

その代わりに著作権をがっちり固めた「着うた」は盛況のようで、実際(着メロではなく着うたで)ゲームミュージックを配信しているケータイサイトもいくつかあるようです。
auやドコモが本格的な音楽配信に乗り出し始めている昨今、日本において音楽を持ち歩くというスタイルはネット配信とは別の形で普及するのかもしれませんね。
それがゲームミュージックにとって追い風になるのかは、正直言ってまだわかりませんですが……。

個人的にはiTMSにもっとメジャーになってもらって、それこそアマゾンのようにあらゆるゲームタイトルの楽曲がよりどりみどり、というのが一番うれしいですね。
Posted by まれいん at 2006年05月14日 03:57
お久しぶりです〜(=゚ω゚)ノ ウチも大分眠ってたので遅いレス失敬w

聖剣伝説くらいのビッグタイトルの限定配信だと、かなり利用者は増えそうですね〜。いい追い風になることを期待しちゃいますのぅ。あと携帯ゲームのサントラなんてホント数えられるくらいしか出てないし、未開拓な部分も相当に多いと思いますしね。このまま埋もれさせないためにも、少しずつでいいので配信していって欲しいですな。
個人的にはGBAスパロボの曲がレトロ熱い系で(?)大変気に入ってるんですが・・・・・・
どうですかバンプレストさん(何が)

それから、やけにタイムリーなことに、とたけけミュージックは雑誌通販で再販らしいですなー。
Posted by poti at 2006年05月24日 01:25
どうも、お久しぶりです>potiさん

携帯ゲームは今まで市場としてどうしても小さく見られていたので、サントラ化しても需要が見込めないという面から実現が難しかったのだと思います。ゲームの規模が小さいので楽曲も多くない→アルバム化しづらい、という面もあったのかもしれません。
ですが、携帯ゲーム機の進化&ニンテンドーDSの大ヒットによってこれらの問題は解消されつつあります。早々に実現したとたけけミュージック再販も、そんな流れの兆しなのではないでしょうか。
これからは、携帯ゲーム機の楽曲もどんどんメジャー化していって、サントラなりネット配信なりで耳にできる機会が増えていくのではないかと思っています。GBAスパロボも、今後何とかなるといいですね(^^)

で、そのとたけけミュージック再販ですが。
「ファミ通DS+キューブ&アドバンス」(雑誌名、長っ)ですよね。再販については時間の問題だと思っていましたけど、こんなに早く、しかも雑誌通販という形式をとるとは思いませんでした。
デジタルディバイドを避けるという意味では妥当な方法なのでしょうけど、若干古めかしさも感じますね。どうせならネット配信も並行して実施してくれないものでしょうか。
実際、あの歌をゲーム中で全て聴いた人はほとんどいないでしょうし、「俺はお気に入りのけけスカさえあればいい」とかいう人もいるはずです(笑)
そんな人には丸々アルバム1枚通販せずとも、それこそ1曲単位で気軽に買える手段が別に用意されていてもいいんではないかと思うのですがどうでしょう。

まあ何にせよ、こういった動きがゲームミュージック全体にとってひとつの追い風になるのは間違いないと思いますね。
Posted by まれいん at 2006年05月25日 23:56
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