2006年10月23日

[レビュー]ロストマジック サウンドトラック(前編)

先日、タイトーがiTunes Storeに進出する云々の記事を書いたんですが、その中でぽそっとリクエストしていた「ロストマジック」のサントラが、早くもiTunes Storeで発売開始されていました。いやぁ、これは密かにとっても期待していただけに、うれしいやらびっくりするやら。

というわけで、早速購入してみた「ロストマジック」のサントラについてレビューしてみたいと思います。今日はちょっと時間がないので総論のみになりますが、ご了承下さい。

言うまでもないかもしれませんが、「ロストマジック」のコンポーザーはなかやまらいでん(元・ZUNTATAの「中山上等兵」)さん。しっかりした美しい曲構成と、イメージに合わせた引き出しの多い表現技法が魅力です。今回の「ロストマジック」ではどんな音楽を聴かせてくれるのか非常に楽しみにしていたのですが……さすが、期待を裏切らない、いやそれ以上の出来映えでした。
(注:私は残念ながら「ロストマジック」のゲーム本体は未プレイです。以下その辺をご考慮下さい)

まずひと通り聴いてみて感じたのは、「懐かしさ」でした。まるでスーファミのRPGの音楽でも聴いているような、でもそれよりも明らかに新しくて表現力もある、という何とも不思議な感覚だったのです。

その理由を考えてみるに、ひとつは音色にあるようです。スーファミを連想させるようなFM音源の音色とノイジーなサンプリング音が特に印象的ですが、その他にもPSGのような音色や、タイトーのアーケードゲーム(F2、F3システム辺り)で聴いたことがあるような音色などがそこかしこに顔を出しているのです。これらはおそらく意図的にサンプリングして使っているのでしょう。旧世代の音源の音色をこれほど多様に駆使したその真の意図がどこにあるのかはわかりませんが、携帯ゲーム機でプレイするアクションRPGの曲として、華美になり過ぎない、身の丈にあった雰囲気を醸し出しているように感じられました。

ただ、決してそういった懐かしい音色だけではなく、ちゃんと必要なところではクリアにサンプリングされたPCM音も多用して、表現に厚みと豊かさを加えているのです。この芸の細かさ、これだけ多種多彩な音源の音色を効果的に使い分けるセンスは、ちょっと比べるものが見当たりません。「世界樹の迷宮」で目指しているとされる「FM音源+いい音」という感覚が、ここではすでに先取りされていると言ってもいいでしょう。

もうひとつの懐かしさは、やはりその音楽性です。限られた1ループの容量、限られた表現力の中で思い描いたイメージをどれだけメロディとして詰め込めるか、そのひたむきな想いが楽曲からあふれ出てくる様は、まさに、FM音源+PCM以前にゲームミュージックに込められていた「熱」そのものです。表現力の上がった環境で悠々と奏でられる音楽ではなく、その広がった表現力の枠すら窮屈だと言わんばかりに濃密に詰め込まれた音とメロディ。この熱意こそが、ちょっとしたノスタルジーを感じさせているように思えます。

そして、そこに詰め込まれた音楽の「濃さ」「豊かさ」も尋常ではありません。暴言覚悟で言うならば、「携帯ゲーム機で鳴らすにゃもったいない!」くらいです。

まず、その曲構成。携帯ゲーム機の音楽だとA→A’→B→サビ→ループ、といったくらいの構成が普通ですけど、これはそんな単調なもんじゃありません。A→A’→B→C→Dくらいは当たり前に展開されます。1ループの中でいかに音楽として満足のいく構成を立てられるかが追求されているのでしょう。その結果1ループが1分半〜2分という曲もざらではなく、音楽単体としての聴き応えは充分です。
(ちなみにアルバム内ではループ曲は基本的に2ループ収録されているので、1トラックのボリュームはかなりなものです)

そして讃えるべきは、ゲーム内容に媚びることなく、コンポーザーとして表現したいことを表現するという強い意志。音楽は音楽として何ら臆するところのない存在感が実に気持ちいいのです。主役はゲーム本体、でも音楽も音楽として自ら立ってその存在を示すという力強さ。過去の経歴で修飾されるのはなかやまさんにとって不本意かもしれませんが、この堂々とした独立性は、まさにZUNTATAが培った気風だと言えるでしょう。

で、ここから各論に入りたいのですが……時間切れになってしまいました。
続きはまた明日にでも。
posted by まれいん at 02:14| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/25980371

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。