ええと、いつぞやの記事で「『エリア88』のサントラのショートレビューをしてみたい」とかいうことをちらっと書いていたのを、すっかり忘れておりました。
このサントラについてはすでにいくつもレビューが上がっているので(G.M.Revolutionさん、萌え戦場の狼さん、超兄記。さん)、今さらな上に正直言って少し恥ずかしいのですが、言ってしまったことは言ってしまったことなので、ともかく私なりの感想をちみっとだけ書いておきたいと思います。
ご存じのとおり、先日たのみこむでリリースされた「エリア88」のサントラにはアーケード版とSFC版が収録されてるのですが、私が聴いて感銘を覚えたのは主にアーケード版の方だったので、主にそちらについて書いてみます。SFC版は(オリジナル曲もありますけど)基本的にアーケード版の焼き直しなせいか、いまひとつ印象に残らなかったもので。
アーケード版の方を聴いていて思ったのは、少ないチャネル数をものすごく工夫して使い回している、ということでした。
ディレイをつけて音に立体感をつける、音色を次々と切り替えてパート数を仮想的に増やす……テクニック自体は決して特殊なものではないんですけど、その使い方が非常に念入りというか、執念めいたものを感じてしまうのです。まるで、
「ほんとはもっとたくさんパート入れて、エフェクトもしっかりかけて、もっともっといい音楽にしたいんだけど……これが精一杯なの! わかってよ、ねぇ!?」
というコンポーザーの松前さんの叫びが聞こえてくるかのような(ほんとかいな)。
でも、こういうコンポーザーの思い入れが伝わってくる楽曲というのは、聴いていてうれしいものです。何をしたいかという目的意識を持って聴く側に相対してくれている、というその誠意がうれしいんですね。音楽ってのはノリや聞こえの良さだけでも充分楽しめるものですけど、こういう作り手の意識が伝わってくる音楽は、また一段と深い楽しみ方ができるものだと思うのです。多分、そういうのが好きなのでしょう、私は。
それはさておき、こういった工夫や意気込みといった部分だけではなくて、メロディの良さもポイントが高いです。クールさと熱さが同居するかのような微妙なニュアンスは、傭兵のミッションというゲームの世界観にうまくマッチしています。のみならず、メロに割けるチャネル数の少なさ(基本的に2チャネル)をうまくカバーする構成になっているところが見事です。ほんとに苦労して作ってあるな、としみじみ感じます。
で、その辺の苦労やフラストレーションから解放されているのが、#7“雷雲”のアレンジバージョン。これはアレンジというよりはむしろ“雷雲”という曲の本来のイメージが再現された曲、と言った方がいいかもしれません。オリジナルのリズムやメロを大きく崩さない無難なアレンジですが、それだけにオリジナルでは表現しきれなかった部分がよくわかって、「ああ、ここはほんとはこういうイメージで描きたかったのか」と納得できる内容になっています。
今でこそチャネル数の制限なんて話は携帯ゲーム機でもあまり聞かなくなりましたけど、80年代のゲームミュージック黄金期を支えていたのはこういう職人の技と心意気だったんだよなぁ、と改めて思わせる一枚でした。
2006年11月04日
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