【重要】『ファミ通.com ゲームミュージックダウンロード』サービス終了について
うーん……。
2005年6月にサービス開始ということですから、この業界では先駆けと言ってもいいと思います。残念です。
残念ではあるのですが、それなりの理由もあるのかなぁ、という気もしています。
正直言ってしまうと、私がこのファミ通のダウンロードサイトを利用したことは1回しかありません。たしかその時はロックマン2のサントラを購入したと記憶しています。ずいぶん昔の話です。ロックマン2のオリジナルサントラを今手に入れようと思うと「カプコン ミュージック ジェネレーション ファミコン音楽全集 ロックマン1〜6 」の一部として買わねばならないのですが、幸いなことに件のサイトではそれらをCD1枚ごとにバラ売りしてくれていたので(しかも1枚1,050円と格安)、当時とりあえずロックマン2だけ聴きたかった私にとっては実にありがたかったのです。
ですが、いったんダウンロードしてしまうとこれが実に扱いづらいものでした。何より問題だったのは、Windows Media DRM10(以下「DRM10」)で著作権保護されていることです。この当時すでにiPod+iTunesユーザーであった私にとって、これは牢獄にも等しいものでした。結局、CD-ROMに焼いてリッピングし直すという何とも面倒な過程を経てiTunesに取り込んだはずです。
(補足:DRM10で保護された音楽ファイルは、それに対応したプレイヤー以外に転送することができません。また、Windows Media Player以外のソフトでは再生することができません。)
そう、このDRM10こそが全ての元凶だったのではないでしょうか。2005年当時ではまだiTunes Storeも取り扱い数が少なく、ダウンロード配信のトレンドがどうなるか先が読めない時代でしたから、著作権保護フォーマットのひとつとしてのDRM10はひとつの選択として「あり」だったのです。ですが、その後の展開は皆さんご存じのとおり。DRM10はAppleはもちろんソニーにも見放され、対応プレイヤーは今や東芝のgigabeat他数えるほどの数しかありません。また、ゲームミュージックのダウンロード配信サービスはiTunes StoreやAmazon MP3といった大手が大半を占めるようになりました。そしてとどめはYouTubeやニコニコ動画といった動画サイトが無料の音楽配信サービスとしての地位を確立し始めたことでしょう(殊にゲームミュージックに関してはニコ動の存在はあまりに大きいです)。
そういう意味では、ファミ通のダウンロードサイトは音楽配信のトレンドの様変わりによって淘汰されることになったと言えるでしょう。コンテンツ的にはそれなりにニッチなところを押さえていて好感が持てたのですが、いかんせん音楽ファイルとして扱いづらいというのは致命的であったように思えます。うーん、残念ですが、これも時代の流れなんでしょうか。
唯一心配なのは、このサービス終了がゲームミュージック自体に対するマイナスのイメージになってしまうのではないか、という点です。この事例がメーカー各位に対して「ゲームミュージック=儲からない」という誤ったメッセージを送ることにならなければいいのですが……。
というわけで、ある意味ひとつ時代が終わったのかなぁ、という感慨を抱きつつ、この辺で。