感想としては、「清く正しいJRPGの音楽」とでも言いましょうか。
この曲はフィールド移動、この曲は戦闘、この曲はイベントでこの曲はボス戦かな? というのが聴いていて非常にわかりやすいです。わかりやす過ぎて退屈なくらい。まあ、この辺は良し悪しを云々言うべきはないでしょう。このわかりやすさが制作側のオーダーであるならば、作曲者である菊田裕樹さんは良い仕事をしたと思います。ただ、型にはまったならはまったなりでにじみ出てくる「菊田さんらしさ」というものがもうちょっとあってもよかったのでは、という気がします。正直、音楽として聴いていて驚きは少なかったです。
音楽に驚きは常に必要なのか、と聞かれたら、それは人それぞれだと思いますが。私の場合、音楽に情動を求める傾向が強いので、聴いていてハッとするような音楽の方が好きなのです。そういう点において、シャイニング・アークの音楽からはインパクトがあまり感じられませんでした。というか、ストリングス+ドラムでどんちゃかやるような曲がとても多くて(特に戦闘シーンとおぼしき曲)、途中で聴くのやめようか、とか何度も思いました。これ、実際にゲーム中に聴いていたらどう思ったか……まあ、ゲーム本体もプレイせずにえらそうなこと言えた義理じゃありませんが(すいません、まだ未プレイなんです)。
ただ、このわかりやすさは、通しで聴くとシナリオの起伏をそのままに感じられるという点でプラスに働いています。特に #33 "記憶の覚醒" 以降は、前半の明るく前向きに感じられた曲調からシリアス度を増した曲調に変化していて、シナリオの流れをつかみやすかったです(曲名でかなりネタバレ……)。つまり、それは音楽がゲームの盛り立て役としてきちんと仕事をしているということになるので、これはこれで良いことだと思います。
最後に個別の曲を少しだけ見て行きます。一番興味を惹かれたのは #38 "鋼翼の智天使"。変拍子+シンセ&ギターという構成は、正直この曲だけ浮いてしまってるんじゃないかと思うくらい飛び抜けています。聴いていてなかなか面白かったです。あと、 #44 "星域の虚像" は曲名をもろに体現したスペイシーな四つ打ちテクノ。多分、そういうシーンなのでしょう。この辺もある意味わかりやすいです。
うーん、こんなところでしょうかね。ちょっと言い足りないような気もしますが。
異論等ありましたら、コメント下さい。では。
ご了承下さい。