Windows用 横スクロールシューティングゲーム「ヴォイド・ギア」のサウンドトラックがスィープレコードから発売になりましたので、さっくりとレビューしてみたいと思います。コンポーザーは渡部恭久さんです。
とりあえず、通しで3回聴きました。それを踏まえての感想です。
全体を通して言うと……んー、何と言いますか、渡部さんも小さくまとまっちゃったなぁ、というのが感想です。
音色の使い方や間の取り方はたしかに渡部さん独特のものだし、音楽としてのクオリティは間違いなく高いんですけど……ずいぶん、真っ平らな曲を書くようになったものだなぁ、と。
多分、「ボーダーダウン」や「旋光の輪舞」から渡部さんの曲を聴くようになった方々からしたら、満足いく内容だと思うんです。でも、ZUNTATAのYack.さん時代から聴いてきた者からすると、実に味気なく感じるのです。まるで、味付けしていない鶏のささみを食べているようなパサパサした印象を受けました。
私は、渡部さんの最高傑作は「ファイターズインパクト」だと思っているので、その辺から私の好みを察して頂きたいのですが、その私からすると、今回の「ヴォイド・ギア」は実に退屈でした。ZUNTATA時代は、もっとこう、ゲーム自体を喰いかねないくらいの凄みというか迫力というか、自分のセンスを見せつけて止まないくらいのとんがったサウンドを聴かせてくれたものだったんですけど……ずいぶんと丸くなった、というか平らになったものです。
「今どきそういうゲームミュージックは流行らない、こういうのがかっこいいんだよ」と言われてしまえば、そうですかと言わざるを得ないんですが……何と言うか、はっきり言ってどの曲を聴いても同じように聞こえてしまうんです。昨今のゲームミュージックではこういうドライな感覚が受けるんでしょうかね?
私はゲームとしての「ヴォイド・ギア」はプレイしていないので、ゲームの世界観的にはこういう楽曲が合っているのかもしれませんけど、それでも、もうちょっと「毒」があってもよかったのではないかと思うんです。
音楽としては良いんです。シャープでスマートで。決して悪くはないんですけど……もっと、奥の方を見せて下さいよ、と渡部さんには言いたいです。表面を取り繕うのではなく、聴く者の魂をひっぱたくくらいの力のある曲が聴きたいんです。それだけのセンスは持っているはずなんですから。
まあ、ゲーム制作上のいろんな都合で、コンポーザーさんの意志だけで楽曲のイメージを決められなくなっているということもままあるのでしょうけど。このまま、「角を矯めて牛を殺す」ようなことにならないことを祈るばかりです。
以上、簡単ですが終わります。