レポートも書き終わって、私の中ではようやっと一段落した感があるのですが、もうひと言だけ述べておきたいことがあります。それは、今後も開かれるであろう大型ゲームミュージックイベントの今後についてです。
「EXTRA」は実に楽しいイベントだったんですが、難点だったのは6時間近くに及んだその長さです。
一つのイベントでたくさんのアーティストのパフォーマンスを楽しめるのはそれはそれで醍醐味ではあったものの、オールスタンディングで6時間はちときついものがありました。
もうひとつの問題点は、これはよかった点との裏返しになるんですが、音楽のジャンルがあまりに多岐にわたりすぎたことです。
DJステージについては一律してクラブサウンドという展開だったので統一感はあったと思います。ですが、ライブステージの多彩さは観客をかなり選んだのではないでしょうか。「フロアで踊りたい」という人たちにとっては邪魔でしかなかったでしょうし、そうでなくともあの幅広いジャンルを全て受け入れるのは、よほどコアなゲームミュージックファンでなければできなかったでしょう。実際、「THE BLACK MAGES だけ見に来た」という人もけっこういたようですし……。
植松さんは「(DJステージとライブステージに加えて)オケピットがあってもいいよね」とおっしゃっていましたが、正直なところそこまでやったらほとんどの観客はダレるか混乱するかどちらかでしょう。ジャンルを超えたボーダーレスなところがゲームミュージックの面白さのひとつではありますが、一度のイベントであまりに幅を広くしすぎるのも問題があると思われます。
大型のゲームミュージックイベントではレポート記事で「メーカーを超えた」「ゲームのジャンルを超えた」という煽りがつくように、とにかく多種多様な作品を集めることが主眼になっていますが、そろそろそういった「集める」ことを売りにする段階は終わりにすべきなのではないでしょうか。
今年も開催されるゲームミュージックイベント「PRESS START」は、オーケストラによる演奏を大きなホールで椅子に座ってじっくりと鑑賞するためのイベントです。観客もそれを理解して参加するわけですから、その場でライブのようにテンション上げようとか、いわんやクラブのように踊りまくろうとか思う人はいないはずです。
逆に言えば、そういうことを目的とする人たちにオーケストラによる演奏は合わないのです。
「EXTRA」に参加して、また終わった後各所で感想を調べてわかったのは、ライブでノる人、踊る人、ゲームミュージックを音楽として聴きたいだけの人、という区分が少なからずはっきりしていた、ということです。
ならば、あらゆるジャンルをごった煮にして集めるよりも、ライブ、DJ、コンサートといったように目的ごとに的を絞った形式のイベントを開催した方がより観客のニーズにかなうのではないでしょうか。
ゲームミュージックがますます多様化を増していく昨今、古今東西有名どころのコンポーザーを集められるだけ集めれば、「EXTRA」のようなごった煮のイベントになります。それはあらゆる観客に(お目当てのコンポーザーがいるから等々)なにがしかの満足を与えるでしょうが、それ以外の面では不満や戸惑いを残すことにもなります。
曰く、「最近の曲はうるさいばっかりで面白くない」
曰く、「どうしてこいつら踊らないんだ」
曰く、「趣味に合わない曲聞かされてもタルい」
などなど。
そして、こういうごった煮状態を作ると、常識を超えた長丁場となってしまうという弊害も「EXTRA」は証明してくれました。
となれば、解決策はひとつ。「分ける」しかありません。
音楽としてじっくり聴きたい人、ライブアレンジで盛り上がりたい人、ダンスミュージックとして踊りたい人。ゲームミュージックの多様化はリスナーの多様化をも招きました。であれば、エンターテイメントとしてそれぞれのリスナーのニーズをより深く満たすために、そして耐久マラソンのような長時間化を防ぐためにも、イベントの形式の専門化を考えるべきです。
もしも、植松さんがおっしゃったように「日本ででっかいゲームミュージックのイベントをやる」とするならば、
・オーケストラによるコンサート
・DJを多数集めたクラブイベント
・フュージョン、ロック等のバンドによるライブ
を1日ごとに開催するという、音楽祭形式にするのが良いかと思われます。
こうすれば、ひとつひとつのイベントが大幅に長くなることはなくなりますし、目的を絞れますから観客の満足度も高くなるでしょう。
逆に、もしこれを全部一緒くたにまとめてやるとしたら、おそらく朝から晩までかかってしまうのではないかと……。いくら好きなゲームミュージックでも、そこまでくると拷問です。
というわけで、要点をまとめると、
・有名コンポーザーをかき集めるだけのイベントはもうやめるべきである
・これからのゲームミュージックイベントは観客のニーズを考慮して、形式を限定して開催すべきである
・やたらと長いイベントはこりごりである
ということになります。
夜中に書いたんで無駄に長くなってしまって、すみませんでした。
以上。
以前より拝見させて頂いておりますが、書き込むのは初めてです。
私もEXTRAには遠路遥々と足を運びました。
GMを題材にした多種多様なジャンルを堪能できたことは大変良かったのですが、やはり、『楽しくても、長時間は辛い』というのが本音です。
まれいんさんが御指摘のように、土曜&日曜なり日を分けて開催して頂けると、身体的にも楽ですし、お目当てのコンポーザーが1人しかいないような固定ファンの財布にも優しいですよね。
様々な好みに合わせてのステージならば、より気軽に(時間も金額も)参加できるようになり、ゲーム音楽ファンの間口を広めるのではないかと思います。
個人的は、ロックフェスのように時間ごとに好きなゲストステージに移動するとかしたら、多ジャンル楽しめていいのになと思いますが、やっぱり体力は使いそうです。全部行ってしまうだろうしなぁ〜
はじめまして。
いつもご覧下さいましてありがとうございます。
時間の長さもあるんですが、ライブとDJという違う楽しみ方をする音楽形式をごちゃ混ぜにして詰め込んだのが「EXTRA」の問題点だったと思うのです。
これをライブとDJと別々のイベントとして行なっていれば、
・パフォーマーの数が少なくなる→目当てのコンポーザーに的を絞りやすい
・各パフォーマーの持ち時間が増える→急ぎ足にならずにじっくり楽しむことができる
となって、聴く側にとってより楽しめるイベントになったのではないでしょうか。
別々のイベントとなれば自ずと開催日も分けざるを得ませんし、そうすれば結果として体力的な負担も軽減できるというわけです。
ゲームミュージックのイベントとして、より多くのコンポーザーを集めることを売りにするのは、ある意味主催者側のエゴであるとも言えます。そうすればたしかにたくさんの観客を集めることができますが、音楽イベントとしてはいびつなものになってしまうのです。
「レアものの博覧会」としてのゲームミュージックイベントではなく、ゲームミュージックを音楽としてより楽しめるようなイベント構成を考えてもらいたいものです。
追伸:
ブログを拝見させてもらいました。まさに「遠路遥々」だったんですね……お疲れ様でした。
っと、すみません。コメントつけるタイミングがかぶってしまいました。
そうですね、間口を拡げるという意味でもジャンル分けは大事だと思います。
ゲームミュージックは一般の方に良さをわかってもらうのが難しい音楽ですけど、例えばDJオンリーであれば普通のクラブ好きな人も気軽に誘えたりするでしょうね。
どうしても大勢のパフォーマーを一度に集めたいのであれば、聴く側が聴きたいステージを選ぶというロックフェスのような形式はベターだと思います。
全部聴きたい人にとってはかなりきついことになりそうですが……(笑)。
ともあれ、ゲームミュージックのイベントも聴く側の好みをもっと考慮してくれるようになってほしいものです。
EXTRAに行って一番不満だったのはやはり最近のゲーム音楽コンサートやライブが少なすぎた事でした
まずは普通にゲーム音楽を生で聴きたい
ライブステージの方はその欲求を満たせたと思いますから満足度が高かったですね。
最初にこの欲求が十分満たせた上で、後にクラブサウンド化されたものも聴いてみたいなーと思うかもしれません
しかし今回は一足飛びにクラブサウンド化された物を聴いた物が多かったので、最初に求めた物に対し違和感が先に立った気がします。
ごった煮の限界も同意ですね。
クラブサウンドで踊れというのはアリだと思いますけど、1ステージ毎に”さて今回は踊って良いの?”と気にするのは興ざめでした。
最初から最後まで”踊ってくれ””叫んでくれ””息を止めて聴いてくれ”という方が没頭できたかなと思います。
(もちろん多少の緩急があった方がいいというのは別の話で)
来月はPRESS STARTでオーケストラ系に限ったコンサートがあるのでこちらは安心して聴ける感じですね。
基本がオーケストラ基調のゲーム音楽は多いですし。無理のない演奏が聴けると期待しています。
はじめまして。
こんな場末のブログ(苦笑)にようこそお越し下さいました。
頂いたコメントを読んで、ゲームミュージックにおける世代の違い、というものを考えさせられました。
失礼ですが、てれすさんはかなり昔からゲームミュージックのファンでいらしたのではありませんか?
私がそうなんですが、チャネル数の少ないメロディ勝負のゲームミュージックから親しんできた世代にとっては、まずライブで演奏されるのを聴くのがひとつの醍醐味なんですよね。
片や、テクノやクラブミュージックの一種としてゲームミュージックをたしなむ世代にとっては、その音楽の性質上ライブで演奏されることはすなわちDJプレイと同義であって、ひいては踊ることに繋がっているのだと思うのです。
一方、コンポーザーの方々によってもいろいろ傾向はあるわけで、昔からのたたき上げで楽器演奏もこなせる方々はライブ形式の方が合うでしょうし、最近の打ち込み系サウンドを得意とする方々にとってはDJ形式の方がやりやすいという事情もあるのでしょう。
「EXTRA」では古今東西の有名コンポーザーを集めるだけ集めて様々なニーズに応えようとした結果、こういった(聴く側、演奏する側双方の)世代差がごちゃ混ぜになってしまって、結果として観客全員が部分的には楽しめたものの、全員に何らかの不満や違和感を残してしまう結果になったのだと思います。
>1ステージ毎に”さて今回は踊って良いの?”と気にするのは興ざめでした。
この点は私も同意ですね。ライブのノリとクラブのノリは明らかに違いますから、ステージ毎に次はどういうテンションで受ければいいのか考えて切り替えなければならなかったのは、おっしゃるとおり興醒めでした。
「PRESS START」は最初からオーケストラ演奏ということが確定していますから、観客側も聴く姿勢をある程度固定できるという点で安心感はありますね。今年も開催されるとのことですが……選曲が若干幅広すぎるので、それはそれでテンションの切り替えを必要とされる部分がありそうな気がしています。
#第2部でOblivionとスーパーマリオとサクラ大戦を並べるってのはどうなのかと(苦笑)
いやお察しの通りかなりの古株です(苦笑)
コメントを見てEXTRAのもう一つの弱点と思ったのが、演奏形態が作曲者に縛られるってのがあるんですね。
打ち込み系コンポーザーさんの曲をライブで聴きたいという組み合わせができないんです。
DJに適した曲ならいいんですが、そうとも限らないですし。
ライブ演奏するにしても優れた作曲者さんが優れた演奏者であるとも限らないですから。
だから演奏者と作曲者が縛られない状態のライブという形式も一つの進化型になるんじゃないかとおもいます。
PRESS STARTがオーケストラ系でそれを実現してますが、バンド系でそういうのがあってもいいのかもしれません。
THE BLACK MAGESがFINAL TAKEOFF演奏してもいいじゃない…とかそんな感じ?(笑)
あとこれも最近の盲点なのかも?と思うのがゲーム音楽ジャンル自体の縛り。
CDからのストリーム再生時代のゲーム音楽って、実は既存音楽ジャンルから見れば超ごった煮状態。
オーケストラの中心にドラムが居てツインギター鳴らしまくるとか、既存の音楽ジャンルガチガチ発想の人が聞いたらハァ?とかいう組み合わせ。
単にそれがカッコイイから・高性能音源があって実現できてしまうからという理由でそれを為しえていた。
案外反骨精神あるアナーキーな音楽スタイルだったんじゃないかと思います。(アニメの音楽も同様ですね)
それがいつの間にか打ち込み=ステレオタイプなクラブ系みたいな極めて小さな型にはまりつつあるんじゃないか?って感があります。
確かにクラブ形式のDJスタイルで音楽流すならクラブ形式の曲orアレンジじゃないとサマにならないってのもわかりますが…
>Oblivionとスーパーマリオとサクラ大戦を並べるってのはどうなのかと(苦笑)
なんて事を考えると今やクラブ音楽なんて反骨精神でオーケストラに負けてるぞ?なんて視点もあったりして(オーケストラというよりは竹本泰蔵氏かもしれませんが)
>演奏形態が作曲者に縛られる
まさにおっしゃるとおりだと思います。
最近の打ち込みではありとあらゆる音楽を作ることができますけど、作曲した人がそれを実際に演奏できるかというと、必ずしもそうとは限りませんよね。
「EXTRA」は有名コンポーザーの博覧会的な側面もありましたから、とりあえず呼ぶだけ呼んで、何かパフォーマンスをしてもらおうってことになって、さて何が出来るか……というところでライブかDJかある程度の選別がついてしまったのだと思われます。
逆に言うと、かつてのゲームミュージックバンドブームの頃に活躍してらしたコンポーザーの方々は、何らかの楽器でそれなりにパフォーマンスをするだけの技量を持ってらしたわけで……。その辺にも「世代」の違いというか、地力の違いのようなものがかいま見えそうな気がします。
(サラコンではない)バンドによるゲームミュージックのライブは、昔も今も無いわけではないですね。
古くはO.T.Kというテクノバンドがありましたし、最近では「GIGs」(http://gigs.6262.org/index.php )というライブイベントでいくつかのバンドが活動を続けているようです。ただ、いかんせん知名度が低いために、あまり大きなムーブメントになっていないのが残念なところです。
ゲームミュージック関係で有名なバンドはいずれもメーカーの息がかかってるので、曲目に対する自由度を期待するのは難しいでしょうね……。
>ジャンルによる縛り
クラブサウンドが得意なコンポーザーの方って、あんまり他のジャンルの音楽には手を出さないんですよね。というより、どんな音楽もクラブ系のアレンジでまとめてしまうという傾向があるように思います。
困ったことに(?)、様々なゲームにおいてクラブサウンドというのはそこそこ及第点が取れてしまう最大公約数的な解になるので、ますますその枠から抜け出しにくくなっているとも考えられます。
PCM音源の登場をきっかけに、ありとあらゆる音を使って音楽を作ってやろうというチャレンジ精神があふれていた頃のゲームミュージックに比べれば、現状はたしかにてれすさんのおっしゃるような「小さな型」にはまりつつあるのかもしれません。
逆に、オーケストラは(ガチガチのテクノでない限り)ほぼあらゆるジャンルの音楽を演奏できますから、ゲームミュージックのライブを行なうには適した手法だと言えます。ライブにおけるバリエーションの広さで言えば、クラブイベントよりもオーケストラコンサートの方が上でしょう。
もっとも、それもあくまでライブ演奏においての話であって、実際のゲームにおいては「RPGの曲と言えばオーケストラ」みたいなステレオタイプも間違いなく進行していると思われます。
こういうことを言うと叱られてしまうかもしれませんが、多分「型にはまっている」方がいろいろと難しくなくていいんでしょうね。実際のところはどうなのかわかりませんが……。
あとこの手のイベントに行って何時も思うのが「ただ疲れた」という印象です。そりゃ有名どころばかりで曲は良かったですが、あまりに長すぎたり、間延びしたり、体力を消耗し過ぎるようだと、せっかくの感動も薄れてしまいますね。学生時代のクラブイベントなどなら良いのですが。あとその分チケット代も高くなるようだと、来年も行こうかという気が薄れてしまいます。値段分楽しめないので。
まいれんさんの仰る通り、一点豪華主義にこだわらず、時間を短くしてコンセプトごとに日を分けるとか(クラブならクラブ、オケならオケ)、疲れない工夫をするとか、そういった事を心掛けた方が、観客の満足度は上がるし、結果的に長く続くと思うのですが如何でしょうか。そうすれば私も足を運ぶ気になります。では失礼します。
お越し下さいまして、ありがとうございます。
一頃に比べれば知名度も上がってきたゲームミュージックですが、音楽ジャンルとしてはまだまだマイナーな部類だと思われます。
そういった現状で、イベントとしてある程度の成功をおさめるには、やはり有名どころをたくさん揃えて集客しなければならないという面もあるのでしょう。
ですが、そのためにやたらと時間が長くなってしまったり、総花的な内容になってしまったりすると、イベントの質という面では落ちてしまうと思うのです。
そういう意味で、今のゲームミュージックのイベントは「質より量」に走ってしまっているのかもしれません。
ゲームミュージックというジャンルが生まれてから20年以上になりますし、ファンの年齢層も(ゲームの現役世代である)10〜20代ばかりではなくなってきています。現に私も30代の後半ですし(苦笑)、そろそろ体力任せのイベントはつらい歳になってきました。
映画や一般的なコンサートはだいたい2時間前後で終わるものですから、全世代で楽しめるようにするとしたらそれくらいの時間が限界なのではないでしょうか。
そういった短い時間の中で質的にも満足できるイベントにするようにするためには、おっしゃるとおり内容の絞り込みが必要だと思います。
興行的には難しいのかもしれませんけど、時間を分ける、ジャンルを分ける、日を分けるといった工夫をしてほしいものです。
あれもこれもと詰め込んでおけばマニアックなファンが喜ぶといった時代はそろそろ終わりだと思います。ゲームミュージックが歴史的にも音楽の種類としても多岐にわたる現状においては、ある程度内容の専門化をはかった方が結果的には観客の満足度も上がるのではないかと私も考えます。
これからは、企画側の都合だけでなく、観客側の満足度も考えたイベント作りをしてもらいたいものですね。
否定的な意見が多いので、敢えて肯定的な意見も書かせてください。
全体的に見ると、構成や運営に不手際や不慣れな部分があったとはいえ、私個人としては凄く楽しめたイベントでした。
確かに、あまりに色々詰め込みすぎた感はありますが、聴いたことのある(=ある意味お約束で予測できる)方々はもちろん、今までよく知らなかった方のパフォーマンスや曲の中にも「これはイイ!」と思えるものがいくつもあって、目(耳?)から鱗が落ちる思いで見ていました。
こういう雑多なイベントの一番の魅力は何か?というと、ファンである特定のアーティスト目当てではなく、今まで知らなかったアーティストの曲に触れることができる点だと思ってます。 その観点を持っているか否かで、楽しめるかどうかがハッキリと分かれてしまう気がします。
イベントの後、あちこちのブログで感想を拝見したんですが、やはり否定的な意見が多かったです。 ただ、それら全体を俯瞰してみて思ったのが「みんな自分勝手だよなぁ」って事。(^^;) …いや、そういう意見に傾いてしまうのは仕方が無いことではあります。 「自分はこの人のファンだから、この人の曲が聴ければ十分。 他はいらない」って人はいるでしょう…というか、むしろそちらのほうが多い気がします。 でも、それだとそれ以外の人のパフォーマンスに目が行かず、否定的な意見が出てくるのは当然の流れです。 だからといって、「じゃぁ各アーティストが単独でライブすればいいじゃないか」という話になると、[H.]や THE BLACK MAGES など一部の人を除き、なかなか難しいのではないかと思います。 こういう大型企画だからこそ、一同に会して大勢の前でのパフォーマンスが実現できたのではないかと。(中の人に以前伺った話だと、特に田中宏和氏はこのイベントだからこそ快諾してくださったそうで、こういうイベントに出るのは恐らく初だとか) また、「この人の曲だけが聴ければいいんだ」という声が大きくなって、こういう色々なアーティストが集うイベントが無くなってしまうと、自分が特段ファンではないアーティストには恐らく目が向かなくなり、きっとより閉鎖的な方向に行ってしまうと思います。
客層を考えて、それに合わせたイベントにしていくのは当然の流れだとは思いますが、私はむしろ、こういう垣根を取っ払ったような雑多なイベントがもっとあっても良い気がしています。 そして、イベントに行く人も、「私はこの人の曲が聴ければ十分」ではなくて、もっと貪欲に他の曲にも耳を傾けたほうが良いと思います。 せっかくだからw楽しまなきゃSONSONww
どうも、お久しぶりです。
「EXTRA」のレポート記事を見て頂ければわかるとおり、私もあの時はかなり楽しませてもらいました。
> こういう雑多なイベントの一番の魅力は何か?というと、ファンである特定のアーティスト目当てではなく、
> 今まで知らなかったアーティストの曲に触れることができる点だと思ってます。 その観点を持っているか
> 否かで、楽しめるかどうかがハッキリと分かれてしまう気がします。
という点には強く同意します。
実際、私も田中宏和さんや松前公高さんなどについてはほとんど前知識もなかったんですが、そのパフォーマンスの素晴らしさに驚かされました。そういった思わぬ発見ができるのは、「ごった煮」系のイベントならではだと思います。
ですが、そういった「思わぬ発見」を喜べるだけの懐の深さを持っている人は、残念ながらごく少数なのではないでしょうか。
ポップスなどの一般的な音楽の場合は「誰それの曲が好き」という嗜好がはっきりしていて、たとえばポップス全般のありとあらゆるアーティストの曲をチェックして回るという人は(評論家でもない限り)いないのではないかと思います。
同じように、ゲームミュージックも音楽である以上、特定のコンポーザーや特定のジャンルの曲を嗜好するというのはむしろ当然の成り行きで、ありとあらゆる作品に興味を示して楽しもうというポジティブな考え方は、よほど気合いの入ったゲームミュージックファンでなければできないのではないでしょうか。
各所で出ていた「EXTRA」に対する不満は、一般的な音楽の楽しみ方を考えれば、ごく自然な反応だと見ることもできます。
ただ、実際のところゲームミュージックにおいて個々のコンポーザーやパフォーマーなどが単独でライブを行なうのが難しい状況なのは間違いないことで、イベントとして成功するだけの集客を行なうには「ごった煮」式にするのが早道なのでしょう。いろいろ不満はあるだろうが、ライブイベントとして実現しないよりはまだマシ……というのが現状だと思われます。
「嗜好の細分化」と「閉鎖的になること」は必ずしもイコールではありません。ですが、ゲームミュージックの場合選択肢(著名なコンポーザーやパフォーマー)が少ないために、結果的に閉鎖的になってしまう危惧はたしかにあります。
今のところ、その閉鎖性を防いでいるのがイベントやCD、ゲームの売れ行きそのものではなく、ニコニコ動画などの動画共有であるという現実は、いささか皮肉なことではありますが……。
イベント全体としては多様な選択肢を提示しつつ、リスナーの特化した嗜好にも対応するためには、やはりフェスティバル形式での開催がベターなのではないかと思います。
ゲームミュージックが閉鎖的にならずに、多様な選択肢を提示できるようになるためには、まず個々の選択肢が商業的に存続しうるだけのパイの大きさ、つまりはマジョリティを拡大することが第一です。
「EXTRA」に対して不満の声が多く上がったのは、それだけゲームミュージックを楽しむ層が拡大しているからだと考えれば、むしろ歓迎すべきことなのなのかもしれません。