2007年09月25日

[イベントレビュー] PRESS START 2007 横浜公演(後編)

前記事に続いて、「PRESS START 2007」横浜公演の第2部以降についてのレビューをお送りします。
レポートではなくレビューですので、イベント内容の詳細については省略しています。ご了承下さい。

■演奏曲について 〜第2部〜

1.SEGAサウンドユニット [H.]
カルテットメドレーと「Let's Go Away」という、普段のライブなら盛り上がること間違いなしの2曲を披露。ですが、第1部でオーケストラの演奏をじっくり味わうという雰囲気ができてしまった中で、いきなりタテノリ系のパフォーマンスをされても困ってしまうわけでして。実際、最前列付近で立ち上がって盛り上がっていた人たち以外は、椅子に座ったままでどう反応していいか戸惑っている様子でした。

パフォーマンス自体はいつもどおりのパワフルでノリのいいものだったので、それ自体は悪くないのです。問題は、この場に[H.]を呼んだ企画そのものにあったと見るべきでしょう。この点については後日まとめて突っ込みますので、ここではひとまず置いておきます。

2.「クロノ・トリガー」より クロノ・トリガーのテーマ
名曲の誉れ高いクロノ・トリガーなだけに、文句のつけようのない出来でした。編曲の良さもあってか、オーケストラで演奏することによって曲の魅力がさらに引き立った感がありました。

3.The Elder Scroll IV:Oblivion
「海外のゲームミュージックにもこういう良いものがある」という、企画側からの提案と受け取りました。
オリジナルがオーケストラ形式で作曲されているので、初めて聴く人にもオリジナルのテイストはそのまま伝わったかと思います。
アメリカのゲームらしく、多分に映画音楽を意識した作風でしたが、メロディに説得力を持たせる辺りは日本のゲームミュージックをも意識した風にも感じられて、なかなかの佳作でした。
海外作品などのマイナーなゲームの音楽を紹介する企画は、今後も続けていってもらいたいものです。

4.「スーパーマリオブラザーズ」より コースBGMメドレー
知名度の低い海外ものの次に、知らぬ者とてないスーパーマリオを持ってきたのは、バランスを取る意味合いもあったんでしょうか。
古今東西、様々な形で演奏されてきた曲であるだけに、今さらという感もあります。ですが、それでも飽きずに聴けてしまうところは、やはり名曲ゆえなのでしょう。何のかんのいっても偉大な作品です。

5.「悪魔城ドラキュラ」より 悪魔城ドラキュラ〜ドラキュラII〜悪魔城伝説〜悪魔城ドラキュラX
ドラキュラシリーズ4タイトルにまたがる、ある意味非常にマニアックなメドレー。企画側の誰かが趣味に走ったんでしょうか。
同じコナミの作品なのに、シューティングメドレーでは出せなかったゲームのビデオ映像がこちらでは全タイトルで流れていたのが実に不思議でした。裏で何があったんでしょう。

豪勢な企画が仇となったのか、個々の曲は悪くないものの詰め込み過ぎた感もあって、全体的には雑然とした印象でした。

6.「サクラ大戦」より 檄!帝国華撃団
サクラ大戦および横山智佐ファンの方々には大変申し訳ないんですが……どこかの歌謡ショーみたいなノリで、すっかり水を差されてしまいました。せっかくオーケストラがいい演奏を続けてきたところだったのに、非常に残念です。
はっきり言って、これは蛇足。あの場でやるべき演目ではありませんでした。これも[H.]同様、企画側が責められるべき問題かと思われます。

7.キングダムハーツ
テーマソングである「光」をモチーフにしたアレンジ。そつなく綺麗にまとめていたのですが、それだけに印象はやや薄め。アンコールありが前提とはいえ、一応プログラムの最後の演目なんですから、締めくくりとしてもう少し盛り上がりを意識した展開がほしかったです。
なお、ディズニー絡みだけに、ゲームの映像は一切無し。厳しいですな。


■アンコール

1.ゼルダの伝説メドレー2006
前回の「PRESS START 2006」で最も好評だったという演目の再演。
たしかに、一音楽作品として見ても非常に上質で、ゲームミュージック云々を超えて評価できる演目だと思います。ゼルダシリーズをろくにプレイしたことのない私がそう思うのですから、間違いないです。

2.ファイナルファンタジーVIIより 「片翼の天使」
オーケストラと THE BLACK MAGES(以下「TBM」)の共演。詳しい方によれば、これは「アドベントチルドレン」バージョンだとのこと。
こういう一見無茶な組み合わせでの演奏ができるのは、ゲームミュージックのコンサートならではと言えるでしょう。ですが、端から見ると植松さんとTBMのファンに対するサービスでしかなかったようにも思えます。
昨今のゲームミュージックイベントに植松さんが積極的に関与してる都合上やむからぬ展開なのかもしれませんが、「(EXTRAもそうだったように)最後にTBMが出てくればそれでいいんですか?」という疑問も残るラストでした。


=====

横浜公演のレビューは以上です。
また長くなってしまいましたので、イベントとしての全体的な評価は次の記事で行ないます。
posted by まれいん at 01:27| Comment(4) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
前編に続いてこんばんわ。(笑)
クロノは素晴らしかったです〜、個人的にはもう少しストリングスにメリハリがあっても良かったと思いましたが。
サクラ大戦は確かにちょっとゲンナリしました・・・
折角なんだから、ゲーム中の名曲をオーケストラで・・・と、思っていたのに。
他はみな素晴らしかったです、キングダムハーツは個人的には満足、でもラストにしてはちょっとですね・・・
片翼の天使は嬉しかったけど、なんだかなぁ・・・って感じでした。
来年は運営側の改善に期待します。
Posted by ジェみにー at 2007年09月26日 00:22
>ジェみにーさん
こちらにもコメントありがとうございます。

クロノトリガー、演奏もよかったですけど、映像も良くできてましたね。あれはどこからの出典なんでしょう。演奏そっちのけでそちらの方が気になってしまったりして(笑)。

サクラ大戦……横山さんに罪はないとはいえ、あのタイミングで出てこられては……。
本当に、あれは蛇足だったと思います。

キングダムハーツ、演奏も編曲も良かったんですけど、まるでアンコールの露払いをさせられてるみたいで、少し気の毒でした。

「片翼の天使」の“なんだかなぁ”という気持ち、わかる気がします。その辺は次の記事でがっつり突っ込む予定ですので、お楽しみに(?)。
Posted by まれいん at 2007年09月27日 02:32
どうしても言いたかったので、コメントさせてください。(笑)
クロノトリガーの映像はPSでリメイクされた時に追加された、OPムービーです。
檄!帝国歌劇団は正直ボーカル無しで、演奏だけを聴きたかったです・・・
Posted by ジェみにー at 2007年09月27日 23:07
>クロノトリガーの映像
ああ、そうだったんですか。
クロノトリガーはPSでリメイクされていたんですね。
これは知りませんでした……大変失礼致しました(汗)
教えて下さって、どうもありがとうございました。
Posted by まれいん at 2007年09月28日 00:17
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